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’98年11月〜
飼い主が倒れた時・・・ぼくたちは・・・(京太郎記す)
Nov. '98



<<OCT. DEC.>>

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ぼくたちの大好きな、
女優・阿愁麗さん(あしゅう れい 当時推定17歳 本人談)が、
ある日突然倒れた。

それは、ぐっと冷え込む寒い朝、
ぼくたちの目の前だった・・・。
慌ただしくアシュレイ代理が彼女を運ぶ。
ぼくたちの家の前から救急車のサイレンが遠くに去っていった。
それが、ぼくたちのパニックの始まりを告げる合図だった・・・。



アシュレイさんが起きてきた。
左京は食事を要求するため、
彼女の前を行ったりきたりする。
しかし、彼女はうずくまり下を向いたまま。
左京は、事態の急務を察知したのか、ソファーにあがったかと思うと、
畳んであったあった洗濯物を掻き出した。
アシュレイさんはこの時すでに、左京がそこで排尿することを察知していた。

左京は、初めて、粗相をした。
ぼくでさえ、鼻の曲がるような、臭い一発。
しかも意図的に。

アシュレイさんを見ながら、その場で排尿をする意志を示したのだ。
左京のこの行為は、不可思議であった。


左京はこの11月で8ヶ月を迎え、オスとしての本能も出始めていた。
そのことから、桂(メス・8ヶ月)との接触を断たれていた。
これは、桂が母になる身体としてまだ、若すぎるからだった。
友人との別れがストレスになったといえば言えないことはない。

子供時代から一緒だった桂と別れ、
しかも人間の愛情を共有できていたものが、
桂だけに移ったと思ったのかもしれない。

しかしながら、左京には、ぼく(京太郎)がいた。

ぼくはすでに1歳2ヶ月のアルターで、彼の母親代わりをしていた。
そしてぼくたち二匹は全くミラーのように寄り添い、つつがなく暮らしていたはずだった。
今でもあのときの粗相の原因が分からない。

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ミラーなぼく(京太郎:右)と左京(左)


アシュレイママが来た。
彼女は、ぼくたちと初対面だった。
その途端だったかどうか、今では分からないのだが、
部屋中が目も開けられないほど臭くなった。
それは、左京が初めて大がかりなスプレーをした証拠だった。
これは、アシュレイママを「侵入者」と判断した左京の行為だった。

家には塩素系の家庭用洗剤は置いていない。
棚の中にもない。
ぼくたち猫が塩素で中毒を起こしやすいからだ。
従って、この塩素を使わずスプレーのニオイを消すことは至難の業だった。

翌朝

ますますひどくなる臭気・・・。
動物病院で「電解中性水」を買い込むアシュレイ代理。
これは、強酸性水が進化したものといわれている。

強酸性水は消毒効果があるものの、
常時使用する病院内の器具がさびやすいこと、
手あれを起こしやすいといわれている。
この強酸性水と同様の効果を持ちながら改良されたものが、
この電解中性水といわれているものらしく、
動物病院では広く設置されはじめているということだ。

この水は、以前からアシュレイさんがぼくたちのために
毎週買いにいっていたものだった。

それで部屋中をアシュレイママが拭く。
代理が拭く。1日5回拭いても、追っかけっこは続く。


アシュレイさんは、酸素が抜けず、緊張が続く。
当然その緊張はぼくたちに伝わっているのか。

翌昼

桂が変になる。
桂は、アシュレイさんが倒れ込んだ朝、鳴くことをやめ、じっと隣で見守っていた。
しかし、それを最後に彼女の前からアシュレイさんはいなくなった。
日がな一日べったりだった彼女がいなくなったのだ。
桂は、ぼくたち男組の部屋以外を、気が狂ったように、探し回った。
アシュレイママが言うには、上を向きながら探し回っていた、という。


数日

ぼくと左京は、キッチン台に上がることはしない。
なぜなら、何度も何度も繰り返し降ろされ、
昇っても「む!!」とメンチを斬られ、
快適でないことを学んだからだ。

ところが、家の中のメンバーが狂った途端、
ぼくたちの規律は全く変わってしまった。

ぼくは7キロ以上あるので、もともとキッチン台にあがることは、得意な方ではない。
しかし、わざわざ上がり、水道から流れる水を掻く仕草をするようになる。
左京がそれに続く・・・。

ほとんど無法地帯となった。
しかし・・・代理もアシュレイママも方針を決めたらしい。それは、

今は決して叱らないこと。

出来る限り自由にさせ、不快を感じさせないようにすること。
それに徹することは、代理とアシュレイママにとって
勇気のいる選択だったかもしれない。
結果的に左京は、
アシュレイママを受け入れ、頻繁だったスプレーは数日で、
落ち着きを見せ始めた。

アシュレイママがアイロンをかけ始めた。
ぼくは彼女の隣でじっとアイロンがけを見ていた。
これはアシュレイさんと同じスタイルだ。
アシュレイママは、ぼくのことを総領として扱ってくれる。
ぼくがアルターでよかったとアシュレイママはいう。
なぜなら左京の母親代わりになり、
結果的に左京との連帯感が深まり事態の収拾をしてくれるからだという。
アシュレイさんは、ぼくのおっとりした性格に絶大な信頼を置いていてくれる。
しかも人間の気持ちを先回りして察知してくれるところがあるという。

アシュレイママが、一端ママの自宅に帰り、代理とぼくたちだけになった。
その後、左京とぼくはさらに落ち着きを取り戻しはじめた。
いつになく身体を寄せあって、おとなしくするようになった。

しかし、代理に執拗なまでに甘える。
代理が家を出ようとすると、
左京は、お腹をひっくり返し「触って触って」とせがむ。
ふっと代理が後ろを向くと今度はぼくがひっくり返って要求する、といった状態。
身体を寄せあって、じっと様子を伺っている雰囲気が手に取るようだと、代理は思っていたらしい。


「猫は孤独が好き」って”行動学的”なことがしばしば雑誌に書かれている。
でも、本当にそうなんだろうか・・・???
代理はしばしば、そう疑問を抱いていた。
アシュレイさんちにきたぼくたちは人間への依頼心が強かったからだ。
通常一般常識とされている事柄は、次々と覆されていく。

そして代理は今回、くだんの記述が
ぼくたちに限っては当てはまらないことを実感する。
「少なくともうちに来た子達(ラグドール)は、人間が好きで、
自分たちからコンタクトを求めている。
彼らの求めているものは、孤独なんかじゃない。

もちろん、餌でもなく、水でもない。
手のぬくもり、そう、愛情なんだ。」と。(くっさ〜アシュレイ談)

一週間

この間の、食事給与は代理がほとんど担当している。
ストレスから軟便をしてしまった時には、
代理がトイレの掃除と砂の総入れ替えをしてくれた。
除菌滅菌は、アシュレイさんの指示通り、
逆性せっけんを希釈したものに30分浸すというもの。
ぼくたち猫にとって最もいけないのがストレス。
このストレスは突然、ぼくたちの体調を壊す。
温度を含めた環境の変化、猫や人間間でのパワーバランスの崩れ・・・。
以前からアシュレイさんに、このことを代理は聞かされていた。
だから、ぼくたちに最善の処置をし続けてくれた。

しかしこのころ、
代理の健康状態は、風邪ひきで最悪の状態だったのだが・・・。
(彼もよく頑張ったものだ・・・(^^)

アシュレイさん脱走・・・?
アシュレイさんが、侍従医?の許可のもと、数時間だけ帰って来てくれた。
ぼくは、すぐに鼻のニオイを嗅ぎ、まとわりついた。
ぼくとの関係が一番密だったせいかもしれない・・・。
左京は王様のソファーからアシュレイさんを見ている胡散臭そうに・・・。
すっかり、彼の顎は、張り、大人の顔に変化してきた。
肩から首の流れが、厳つく、1週間でめざましい変化を遂げていた。
アシュレイさんは「ますます、チ○ピラみたい(^^)」
と言っていた。
そして、いうに事欠いて
「シャンプーしてないから、みすぼらしい」
などと、のたまっていた。

桂のダメージ

これが一番、大きかったのではないかと思う。
ぼくたちのように人間が大好きな猫にとって、
一番大事にしてくれる人がいなくなることは、最も大きな痛手となる。
桂は、一時の狂ったような状態から脱したものの、諦めの表情へと変わっていた。
この憂鬱そうな様子は、8ヶ月のサイレントヒートが原因かもしれない。
けれど、動きそのものの生彩が無くなってきた。
代理やアシュレイママが別の部屋にいると、
ツメがはがれるかと思われるくらい掻いて呼んだりした。
代理がずっと隣にいると、すやすやと眠るという。
ガラス細工のような子だ。
ひとりが耐えられ子なのかもしれない。

アシュレイさん毎日の脱走・・・?
数時間ずつ毎日、アシュレイさんが通ってくれるようになった。
ぼくたちの食事の給与が、たった1週間で変更されていた。
以前なら、1日3回ぴったりだったものが、
お腹の調子を整えるためさらに細かく分散されていた。
そしてその流れからフリーフード化へと移行されつつある。
これは、かえってよかった。
(というのはぼくだけかな、
だって、ライトじゃなくて、左京のラム&ライスの
お相伴に預かるのはぼくの方だから・・・)

桂は、アシュレイさんが帰ってくると、
膝に乗った後、ぽん、と降りてフードを食べ、
また膝にぽんと乗り、頭を掻いてもらった後、
また降りてフードを食べる、という繰り返しをしている。
もともと彼女は、少しずつ食べる子だが、
いちいち愛情を確かめながら食べているのだ。
こうして彼女の食欲は少しずつ回復しはじめる。
初めてアシュレイさんが帰ってきたときは、食べた後、
満足そうにグルーミングをし、寝始めた。
ぼくたちは愛情こそが大好物なのだ。たはは・・・。

 

 

アシュレイから
京太郎、左京、桂へ


苦労をかけてごめんね。
仕事好きのアシュレイは、
ついつい仕事のし過ぎがモトで倒れてしまいました。
これからは、家族のためにもっと時間をとりたいと思います。

アシュレイは今回の入院で再認識をしました。
それは、君たちがとても
人間好きで、私達と共に喜び悲しみ心を痛める
ということです。

左京が家庭内暴力に走った時、
桂が登校拒否をした時、
鋼鉄の胃腸を持つ京太郎が軟便をした時、
私は君たちが私達と共にいることをさらに実感しました。

アシュレイは自分のためには殆ど泣いた記憶がありません。
けれど今回ばかりは、涙が流れました。
外出を許された夜、君たちを残して病院に戻らなければならなかった時です。

家族が増えるということは、喜びが増すことでもあるけれど、
同時に心配ごとも付随するということ。

"Beautiful life with Ragdoll"

ラグドールとの、美しく素晴らしい生活・・・。
それは、喜びはもちろん、悲しみさえも共にする、実りある暮らし。


京太郎、左京、桂、これからも、よろしく。
君たちに癒され、励まされたアシュレイは君たちのために
二度と倒れないでしょう。

<<OCT. DEC.>>

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